イソトロイン・スピロノラクトン
イソトロイン・スピロノラクトン
治療前:保険診療・ケミカルピーリング治療で治らず、服薬開始
内服5か月後
治療前:保険診療・ケミカルピーリング治療で治らず、服薬開始
内服5か月後
ニキビの中でも、膿腫(のうしゅ)を伴う頬や顎のニキビは難治性と言われています。保険診療の範囲での抗生剤の内服や塗り薬で多くのニキビには改善がみられますが、年単位で保険診療を行っても治らないタイプがあり、膿腫を伴うニキビはその1つとされています。当院では通常の保険診療のニキビ治療で効果不十分な患者様の次の治療手段として本治療のご提案をしております。
イソトレチノインは欧米ではニキビ治療薬として20年以上の歴史があり、商品名はアキュテイン(Accutane)やロアキュタン(Roaccutane)、イソトロイン(Isotroin)といった名称で、日本を除く諸外国では重症ニキビの治療方法として、広く一般的に使用されています。
イソトレチノインはビタミンA誘導体を含む内服薬で、重症ニキビの治療に使用されています。
①皮脂腺を縮小して皮脂の分泌を抑え、②肌の異常な角化(皮膚が厚くなり毛穴が詰まる)を抑制します。また、③アクネ菌に対する直接的な殺菌作用はないものの、アクネ菌に対する免疫応答を正常化する働きがあります。費用は1日20mgで30日分ですと税込16,500円(薬の量により金額変更あり)です。ただし、副作用として肝機能に負担がかかることがあり、およそ1か月ごとの定期的な診察ならびに血液検査をお願いしております。
服用開始
服用にあたり初回・定期的(毎月をお勧めします)に採血が必要です。服用を開始する際のニキビの状態により、1日1回20mgを目安にスタートします。※女性の方は必ず次の正常な月経がはじまって2、3日目が過ぎるのを待ってから服用を開始していただきます。
服用開始2週間〜1か月後
治療開始後、最初の1か月は一過性にニキビの悪化が見られることがあります。平均して3か月目くらいから、徐々にニキビが改善していきますが、ニキビが改善してからも再発を防ぐために治療を半年程度継続する必要があります。治療開始から3か月程度経過しても、なかなか改善がみられない場合はイソトレチノインを40mgまで増量して内服することを検討します。
24週間(半年間)の治療
1クール24週間(半年間)の治療を行います。1クールの治療終了後、最低3か月間は休薬期間を設けた上で、ニキビの再発が軽度であれば、治療は終了です。気になるほどの再発がある場合は、3か月以上の休薬をとった後、2クール目の治療を行うか検討します。ニキビが再発したとしても、以前よりできにくい状態となることがほとんどですので、2クール、3クールと治療を重ねることで、ほとんどのケースでニキビが気にならない状態まで持っていくことが可能です。
下記の症状は多くが中止によって改善しますが、まれに持続する例もございます。
妊娠中
胎児の先天異常、奇形、流産、早産、死産
皮膚症状
治療初期にニキビの一過性な悪化(かゆみ、赤み等)、光線過敏、唇・口の中・鼻の粘膜・眼・皮膚の乾燥、脱毛、発疹(稀に皮膚粘膜眼症候群)
精神神経系
鬱、精神病(幻覚、幻聴)、自傷行為・自殺衝動などの重大な精神疾患
器官障害
肝機能低下、炎症性腸疾患、膵炎、筋骨格痛(運動すると起きやすい)、聴覚障害(聞こえにくさ、耳鳴り等)、視覚障害(角膜混濁、夜間視力低下等)
その他
めまい、頭痛、嘔気、嘔吐、倦怠感、疲労
ニキビのホルモン治療はニキビの原因に深く関わるアンドロゲンというホルモンの産生を抑える治療です。アンドロゲンとは、右の図で示すDHEA・アンドロステンジオン・テストステロンなどの男性ホルモンの総称です。アンドロゲンは女性でも卵巣や副腎皮質で作られています。アンドロゲンがアンドロゲン受容体に結合することにより、結果として皮脂の分泌量を増やし、毛穴を詰まらせます。
スピロノラクトンはもともと高血圧治療のための利尿薬ですが、図のようにテストステロンやDHTがアンドロゲン受容体に結合することをブロックすることでニキビを改善する作用があります。費用は1日100mgで28日分ですと税込6,160円です。ただし、副作用として生理不順・無月経などが起こりうるため低用量ピル(マーベロン 28日 税込3,300円)を併用していただきます。
服用開始
初回開始の際に血液検査を受けていただくことがございます。服用を開始する際のニキビの状態により、1日100mg(朝夕2錠ずつ)を目安にスタートします。
※月経が開始してから最初の日曜日から内服を開始していただきます。
服用開始2週間〜1か月後
治療開始後、3か月間は30%の患者様で一過性にニキビの悪化が見られます。平均して4か月目くらいから、徐々にニキビが改善していきます。症状が改善されない場合は、最大で200mg(朝夕2錠ずつ)に増量することがあります。
服用量の減量
新しくニキビができなくなってから4週間ほどしたら、服用量を1か月ごとを目安に徐々に減量していきます。
服用量を増量していた場合も、新しくニキビができなくなって4週間ほどしたら、服用量を1か月ごとを目安に徐々に減量していきます。
一般的な副作用:下記の症状は減量又は中止によって通常減退ないしは消失しますが、まれに持続する例もございます。
婦人科系
乳房痛・腫れ・しこり、月経不順、無月経、閉経後の出血
皮膚症状
蕁麻疹、痒み、発疹(稀に皮膚粘膜眼症候群)、多毛、肝斑、肌の乾燥
精神神経系
眩暈、頭痛、四肢しびれ感、神経過敏、うつ状態、不安感、精神錯乱、運動失調、傾眠、倦怠感
器官障害
肝機能障害・腎機能障害(稀に急性腎不全)・消化器症状(食欲不振、吐き気、口渇、下痢、便秘)
その他
頻尿、血圧低下、動悸、発熱、声が低音化
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